墓じまいでお墓から取り出した遺骨は、新しいお墓や納骨堂まで誰かが運ぶことになります。運び方は、家族が自分で持って行くか、郵便で送るか、業者に任せるかの3つで、遺骨の運び方そのものを決めた法律はありません。
ただし、電車や飛行機の会社、郵便や宅配便の会社には、それぞれ荷物の決まりがあります。そして、遺骨をどう扱うかを公式ページに書いている会社と、書いていない会社があります。
結論
- 自分で運ぶなら、新幹線も飛行機も手荷物として持ち込めます。JAL・ANA・ソラシドエア・スプリング・ジャパンは公式ページで持ち込めると書いていて、JRの5社は持ち込めない物の一覧に遺骨を挙げていません。
- 送るなら、日本郵便のゆうパックです。ヤマト運輸と佐川急便は「送れないもの」に遺骨を挙げています。ゆうパックは「送れないもの」に遺骨が無く、こわれものとしてセキュリティサービスを付けて郵便局の窓口から送ります。
- 改葬許可証は、遺骨と一緒に持ち運びます。今のお墓では見せるだけで渡さず、移す先の管理者に提出します。
自分で運ぶ
- 新幹線・電車は手荷物として持ち込める
- 飛行機は機内に持ち込む。風呂敷や袋で包む
- 改葬許可証を一緒に持つ
ゆうパックで送る
- ヤマト・佐川は送れない。ゆうパックだけ
- こわれものとしてセキュリティサービスを付ける
- 送る前に、受け取る側に聞く
業者に任せる
- 改葬を受ける業者は18社
- 運ぶのを料金に含む代行業者は0社
- 誰がどう運ぶかを見積書に書いてもらう
飛行機に持ち込むとき
国内線を飛ばしている航空会社の公式ページ(手荷物の案内とよくある質問)を、2026年10月18日に9社分読みました。遺骨のことを書いているかどうかで、次のように分かれます。
| 公式ページの記載 | 会社の数 |
|---|---|
| 機内に持ち込めると書いている | 4社 |
| 英語ページにだけ書いている | 1社 |
| 遺骨の記載が無い | 4社 |
持ち込めると書いているのは、JAL・ANA・ソラシドエア・スプリング・ジャパンです。4社とも「預ける」ではなく「機内に持ち込む」ことを前提に書いていて、書き方は次のように少しずつ違います。
| 公式ページの記載 | 会社 |
|---|---|
| 安定した容器に納める | JAL・ソラシドエア |
| 風呂敷や袋で包む | JAL・ソラシドエア・スプリング |
| 書類を持つとスムーズ | JAL・スプリング |
| 大きさによって収納棚へ | ANA・ソラシドエア |
スカイマーク・スターフライヤー・AIRDO・Peachの4社は、手荷物の案内に遺骨のことが書かれていません。ジェットスターは、日本語の案内には無く、英語の案内に「葬儀社か火葬場の書類を持つ」「容器を密閉する」などの条件が書かれています。
なので、この5社に乗るときは、予約のあとに電話で「遺骨を機内に持ち込みたいのですが、容器の大きさや書類の決まりはありますか」と聞いてください。
機内に持ち込める手荷物の大きさは、ANAもスカイマークも、3辺の合計115cm以内で、55cm×40cm×25cm以内と決めています。一方、公営墓地の案内では、7寸の骨壺は幅と奥行き24cm以下・高さ26cm以下が目安です(次の「骨壺の大きさ」の章)。つまり、7寸の骨壺を骨箱に入れると、25cmの辺を超えることがあります。
ANAとソラシドエアは、遺骨の大きさによっては客室乗務員が座席上の共用収納棚に入れるよう案内するとしています。ソラシドエアは、収納棚に入れたくない人は「座席占有手荷物料金」で座席を確保できるとも書いているので、膝の上に置いておきたいなら、予約のときにこの料金を聞いてください。
遺骨を貨物室に預ける手続きは、気にしなくて大丈夫です。持ち込めると書いている4社は、どこも機内に持ち込むことを前提にしていて、国内の移動なら、乗る会社の国内線の案内だけを見れば足ります。
新幹線・電車に持ち込むとき
JRの手回り品(車内に持ち込む荷物)の決まりは、JR東海・JR東日本・JR西日本・JR北海道・JR九州の5社の公式ページと旅客営業規則を読みました。どの社も、車内に持ち込めない物として危険品・刃物・暖炉やコンロ・動物・死体・不潔な物・臭気を発する物などを挙げていて、遺骨(火葬した骨)は挙げていません。
持ち込める荷物の決まりは、5社とも同じです。
| 手回り品の決まり(JR5社) | 内容 |
|---|---|
| 大きさ | 3辺の合計250cm以内 |
| 長さ | 2mまで |
| 重さ | 30kg以内 |
| 個数 | 2個まで |
傘やハンドバッグなどの身の回り品は個数に数えないので、骨壺を入れた袋と旅行かばんを持っていても、この決まりの中に収まります。
足元に置く
- 普通車の足元は、おおむね3辺合計120cm(25×40×55cm)程度の荷物が入る(JR西日本)
- 骨壺は立てたまま、足元かひざの上に置ける
網棚(荷物棚)に載せる
- JR東海は、重い荷物や不安定な形の荷物は網棚に載せないよう求めている
- 骨壺は倒れると割れるので、網棚には載せない
手回り品の持ち込みと保管は、客が自分でする決まりです。たとえば、混雑した列車で足元に置けないときは、ひざの上で両手で支えてください。
JR東海は、ほかの客に迷惑をかけるおそれがあるときや大変混雑しているときは、持ち込みを断ることがあるとしています。なので、お盆や年末の混む時期に運ぶなら、指定席を取っておくと安心です。
東海道・山陽・九州・西九州新幹線には、3辺の合計が160cmを超える「特大荷物」を持ち込むときに、「特大荷物スペースつき座席」を予約する決まりがあります。骨壺を箱に入れても160cmにはならないので、この予約は要りません。
- 骨箱の幅
- 30cm
- 骨箱の奥行き
- 30cm
- 骨箱の高さ
- 35cm
※ 箱の寸法は、数え方を説明するための仮のものです。自分の骨箱を測ってください。
※ 160cm以下なので、特大荷物の予約は要りません。JR西日本の案内では、120cm程度までは普通車の足元に置けます。予約なしで160cmを超える荷物を持ち込むと、持込手数料1,000円(税込)の対象になります。
在来線(新幹線以外の電車)には、特大荷物の予約の決まりはありません。私鉄やバスは会社ごとに決まりが違うので、乗る会社の手回り品の案内を見てください。
ゆうパックで送るとき
遺骨を荷物として送れるかどうかは、会社の「送れないもの」の決まりで分かれます。
ヤマト運輸(宅急便)
- 送れないものに「遺骨、位牌、仏壇」がある
佐川急便(飛脚宅配便)
- 送れないものに「遺骨、位牌、仏壇」がある
日本郵便(ゆうパック)
- 送れないものは、危険物・毒劇物・病原体・法令で禁止された物・愛護動物・複数の個人情報・現金の7つ
- 遺骨は入っていない
日本郵便は、ゆうパックで遺骨を送れるとはっきり書いているわけではありません。ただし、送れないものの一覧にも、約款で引受けを断る荷物の一覧にも遺骨は無く、業者一覧の代行業者で郵送を受けると書いている1社も、ゆうパックで送るとしています。
なので、送るなら郵便局の窓口で「遺骨を送ります」と伝えて出してください。ゆうパックは、縦・横・高さの合計170cm以下、重さ25kgまでなので、骨壺1つなら大きさの心配は要りません。
- 1受け取る側に聞く移す先のお寺や納骨堂に「遺骨をゆうパックで送ってよいですか。改葬許可証は同封しますか。受け取れる日はいつですか」と聞く
- 2梱包する骨壺のふたをテープで止め、袋に入れて、箱の中で動かないように紙や緩衝材を詰める。約款で、送る人は運送に適する荷造りをすることになっていて、荷造りが適さないと引受けを断られることがある
- 3送り状を書く品名に「遺骨」と書き、取扱い区分の「こわれもの」に印を付ける。日本郵便は「こわれもの」にはセキュリティサービスを勧めている
- 4郵便局の窓口から出すセキュリティサービスはコンビニからは付けられない。加算料金は420円。配達する日を、受け取る側がいる日に指定する
ゆうパックの送り状の見本(欄の名前は約款と案内の書き方。中身は例)数字は仮
| 品名 | 遺骨 | ① |
| 運送上の特段の注意事項(こわれもの等) | こわれもの | ② |
| 損害要償額 | 〇〇円 | ③ |
| 配達希望日 | 〇月〇日 | ④ |
| 配達希望時間帯 | 午前中 | ④ |
| お届け先の電話番号 | 〇〇寺 000-000-0000 | ⑤ |
- ①品名は正直に「遺骨」と書く。約款では、品名に疑いがあると送る人の立ち会いで中身を点検することがある
- ②約款では、壊れやすいものなど荷物の性質の区分を送り状に書くことになっている。「こわれもの」のシールも郵便局にある
- ③セキュリティサービスを付けるときに書く。上限は50万円で、内容品の時価を超えて申し出ることはできない
- ④配達予定日から10日以内なら日にちを指定でき、時間帯も選べる。お寺の法要の日や、管理事務所が開いている日に合わせる
- ⑤受け取る側の電話番号。届かなかったときに郵便局が連絡する
| 補償の決まり(日本郵便) | 内容 |
|---|---|
| セキュリティサービスなし | 30万円まで |
| セキュリティサービスあり | 50万円まで |
| 加算料金 | 420円 |
| 出せる場所 | 郵便局の窓口・集荷 |
役所への改葬許可の申請も郵送で済ませる段取りは、改葬許可を郵送・オンラインで申請する方法で確かめられます。
骨壺の大きさと梱包
骨壺の大きさは「寸」で呼ばれ、国や法律の決まりはありません。広島市も、骨壺の大きさの取り決めは設けていないので葬祭事業者に相談するよう案内しています。
目安になるのは、公営の合葬墓や納骨堂が「この大きさまで」と案内している寸法です。
| 自治体の案内 | 寸 | 大きさ |
|---|---|---|
| 呉市 | 5寸 | 直径約15.5cm・高さ約17.5cm |
| 芦屋市 | 6寸 | 幅・奥行18cm・高さ21cm |
| 塩尻市 | 7寸 | 幅・奥行24cm以下・高さ26cm以下 |
| 横浜市 | 7寸 | 2つで巾25cm×奥行48cm×高さ26cm |
| 郡山市 | 記載なし | 幅・奥行26cm・高さ30cm以内 |
呉市と芦屋市は5寸・6寸、塩尻市と横浜市は7寸を基準にしています。自分の骨壺が何寸かは、お墓から取り出したときに石材店に聞くか、骨壺の幅と高さを測って上の表と見比べてください。
呉市と郡山市は、骨箱(骨壺を入れる木の箱)や骨壺カバーは納められないと案内しています。納め先で箱が要らなければ、運ぶときだけ箱に入れて、箱は持ち帰ることになります。
持ち運びでも郵送でも、梱包で守ることは同じです。骨壺のふたをテープで止めて立てたまま運び、袋や風呂敷で包んで、箱や袋の中で動かないように紙や布を詰めてください。
改葬許可証の持ち方
改葬許可証は、遺骨を取り出すときと納めるときの2回使いますが、使い方が違います。
福岡市は、今のお墓の管理者には許可証を見せて遺骨を受け取り、許可証を手渡す必要は無いと案内しています。横浜市も、取り出すときは渡さず、新しい墓地で必要になるとしています。
仙台市と鹿児島市は、移す先の管理者に許可証を提出して納骨すると案内しています。法律でも、墓地や納骨堂の管理者は改葬許可証を受け取るまで遺骨を納めさせてはならないと決まっています。
なので、許可証を家に置き忘れると、その日は納骨できません。運ぶときは、遺骨と同じ手荷物に入れてください。
ゆうパックで送るときに許可証を箱に入れるかどうかは、受け取る側によって違います。同封するよう言われたら、許可証のコピーを手元に残し、送り状の番号で届いたことを確かめてください。
遺骨を自宅に置くだけなら、改葬許可は要りません。自宅に置く・散骨するときの扱いは、分骨・散骨・手元供養の手続きで確かめられます。申請書の書き方は改葬許可の申請の流れと必要書類で、取り出す日と納骨の日の決め方は墓じまいの段取りと日数で確かめてください。
業者に任せるとき
自分でも家族でも運べないときは、改葬(お墓の引越し)を受ける業者に頼めます。業者一覧では18社が改葬を受けていて、改葬(お墓の引越し)を受ける業者の一覧で地域ごとに見られます。
ただし、代行5社の料金ページを読むと、取り出した遺骨を新しい納め先まで運ぶことを料金に含むと書いている業者は0社でした。郵送を受けると書いている1社は、ゆうパックで送り、郵送料は別にかかるとしています。
料金に入る範囲と、見積書の分け方は、墓じまい代行業者に頼めること・頼めないことで確かめられます。移す先がまだ決まっていなければ、墓じまいの移す先の選び方で、取り出せるかや管理料の違いを先に見てください。
今日やること
- 1運び方を決める家族の誰かが行けるなら自分で運ぶ。行けないなら、移す先に「ゆうパックで送ってよいですか」と電話で聞く
- 2骨壺を測る取り出した日に骨壺の幅と高さを測り、水がたまっていないかを確かめる。飛行機なら、乗る会社に「〇cmの骨壺を機内に持ち込みたい」と伝える
- 3許可証を手荷物に改葬許可証を遺骨と同じ手荷物に入れ、今のお墓では見せるだけ、移す先で渡す