墓じまいとは、お墓から遺骨を取り出して別のお墓や納骨堂などへ移し、墓石を片付けて、お墓の区画を墓地の管理者に返すことです。このうち遺骨を移す部分は、法律で「改葬(かいそう)」と呼ばれ、市区町村の許可が要ります。
結論
- 順番は「親族と管理者に話す→移す先と契約→改葬許可→取り出し→撤去と返還→納骨」です。とくに「移す先と契約→改葬許可→取り出し」は、前の手順でもらう書類が次で要るので、入れ替えられません。
- 役所が日数を書いているのは、改葬許可証の受け取りと、公営の墓地の工事の届け出くらいです。57市区では、その日に許可証を受け取れる市が2市区、約1週間かかる市が2市区ありました。
- 遺骨を取り出す日と墓石を片付ける日は、改葬許可証を受け取ってから決めてください。工事の日数は、石材店の見積書に書いてもらいます。
順番と、次に渡す書類
総務省の東北管区行政評価局が、市町村の案内をもとに示した改葬の手順も、この順番になっています。順番が決まっているのは、前の手順で受け取る書類が、次の手順で要るからです。
| 手順 | 受け取る書類 | 渡す先 |
|---|---|---|
| 移す先と契約 | 受入証明書 | 市区町村 |
| 管理者に頼む | 埋蔵証明 | 市区町村 |
| 改葬許可 | 改葬許可証 | 移す先 |
たとえば、移す先が決まっていないと、改葬許可の申請書の「改葬の場所」の欄が書けません。また、移す先の受入証明書(遺骨を受け入れることを示す書類)を、申請に付けるよう求める市区町村もあります。
埋蔵証明とは、今のお墓の管理者(お寺の墓地なら住職、霊園なら管理事務所)が、「この遺骨はうちのお墓に納めてあります」と書く証明です。申請書の書き方と書類のそろえ方は、改葬許可の申請の流れと必要書類で確かめられます。
最初に話す相手
総務省の資料の手順は、今のお墓の管理者に相談するところから始まります。その前に、家族の中で話をまとめておくと、管理者に伝える内容がぶれません。
- 1名義人を確かめるお墓を使う権利を持つ人(お墓の名義人)が誰かを確かめる。親の名義のままなら、誰が継いだかを決めておく
- 2親族に話すお墓に入っている人の子や兄弟など、お参りしてきた親族に、墓じまいの理由と移す先の候補を伝える
- 3管理者に伝えるお寺や霊園の管理事務所に、墓じまいをしたいことと時期を伝え、墓地の決まりで必要な手続きを聞く
- 4移す先と契約する新しいお墓や納骨堂と契約し、使用許可証や受入証明書をもらう
改葬許可の申請では、申請する人がお墓の名義人でなければ、名義人の承諾書が要ります。また、ほかの親族に話さないまま移す先と契約すると、あとで反対されて話を戻すことになりかねないので、契約の前に話しておいてください。
お寺の墓地の場合は、檀家(お寺を支える家)をやめる「離檀」の話も、この時期に一緒に進めることになります。お寺から言われるお金の考え方は、離檀料の相場と払う義務で確かめられます。
改葬許可証を受け取るまでの日数
改葬許可の申請先は、遺骨が今あるお墓の市区町村です。県庁所在地・政令市・東京の区の57市区について、公式ページに「許可証をいつ受け取れるか」が書いてあるかを、2026年10月17日に調べました。
| 公式ページの記載 | 市区の数 |
|---|---|
| その日に受け取れる | 2市区 |
| 約1週間かかる | 2市区 |
| その日にならない場合あり | 2市区 |
| 書いていない | 51市区 |
その日に受け取れると書いているのは、前橋市と北九州市です。約1週間かかると書いているのは長野市と高知市で、長野市は、窓口・郵送・オンラインのどれで申請しても1週間程度かかるとしています。
また、福岡市と名古屋市は、その日に受け取れない場合や、時間がかかる場合があると書いています。
残りの51市区は、日数を公式ページに書いていません。なので、自分のお墓がある市区町村の窓口に電話して、「改葬許可を申請してから、許可証を受け取るまで何日かかりますか」と聞いてください。
郵送で申請できると公式ページに書いている市区は32市区あります。自分のお墓がある市区町村の窓口・郵送の可否・許可証を受け取れる時期の記載は、市区町村別の改葬許可の窓口で見られます。
遺骨の取り出しと納骨
改葬許可証を受け取ったら、今のお墓から遺骨を取り出し、新しいお墓や納骨堂に納めます。許可証は、2か所でそれぞれ使い方が違います。
今のお墓
- 許可証を管理者に見せて、遺骨を取り出す
- 許可証は渡さずに持ち帰る
新しいお墓・納骨堂
- 許可証を管理者に渡す
- 受け取ってもらってから納骨する
新しいお墓や納骨堂の管理者は、改葬許可証を受け取るまで、遺骨を納めさせてはいけないと法律で決まっています。なので、遺骨を取り出してから納骨するまでの間は、許可証をなくさないように、遺骨と一緒に保管しておいてください。
遺骨を取り出す前には、お坊さんにお経をあげてもらう「閉眼供養(へいがんくよう)」をすることがあります。閉眼供養の日と、石材店が遺骨を取り出す日は、許可証を受け取ってから、お寺と石材店の両方に都合を聞いて決めると、日程をやり直さずにすみます。
また、新しいお墓では、使用許可証や、そのお墓の様式の「埋葬届」を求められることがあります。納骨の日を決めるときに、何を持っていけばよいかを新しいお墓の管理者に聞いておいてください。
墓石の撤去と見積もり
墓石を片付けて区画を更地に戻す工事は、石材店に頼みます。業者一覧に載せている業者のうち、墓石の撤去を受けるのは18社で、そのうち14社が公式サイトに料金を載せていました。
料金を載せている業者のうち8社は、「1㎡あたり」のように、お墓の広さを添えて料金を書いています。なので、見積もりを頼むときは、区画の広さ(㎡)を伝えると、業者どうしを比べやすくなります。
墓石の撤去の見積書の見本(項目名は業者の料金ページの書き方。金額は例)数字は仮
| お墓本体解体工事(一式) | 〇〇円 | ① |
| 巻石解体工事(2平米以内) | 〇〇円 | ② |
| 納骨室解体搬出 | 〇〇円 | ③ |
| 残土・コンクリートガラ等処分 | 〇〇円 | ④ |
| 新規土追加 | 〇〇円 | ⑤ |
| 遠方などの費用 | 別途 | ⑥ |
- ①墓石を解体して運び出す工事。「一式」(中身をまとめて1つの金額にした書き方)なら、何が入っているかを聞く
- ②巻石は、区画のまわりを囲む石。広さ(平米=㎡)で金額が変わる
- ③納骨室は、墓石の下の、遺骨を納める部屋。遺骨を誰が取り出すかも聞く
- ④壊した石やコンクリート、掘った土を処分する費用
- ⑤片付けたあとに新しい土を入れて、区画を平らに戻す工事
- ⑥「別途」は、見積もりの金額に入っていないという意味。墓地が遠いときや、作業しにくい場所のときに足されることがある
見積書をもらったら、項目ごとの金額のほかに、作業する日と、作業にかかる日数も書いてもらってください。工事の日数が分かれば、閉眼供養や区画を返す届け出の日を、工事の日に合わせて決められます。
なお、お寺の墓地では、お寺から石材店を指定されることがあり、ほかの業者の見積もりを断られたという相談が葛飾区に寄せられています。一方、神戸市のように、市の墓園の工事に指定業者は無いと案内している墓地もあります。
指定があるかどうかは、墓じまいのことを管理者に伝えるときに、一緒に聞いておくと安心です。
指定が無ければ、墓石の撤去を受ける業者の一覧から2社以上を選び、同じ区画の広さで見積もりを取って比べられます。
区画の返還
国が示した墓地の契約の見本(墓地使用に関する標準契約約款)では、お墓の名義人は、書面でいつでも墓地の契約を解除できます。そして契約が終わったら、名義人の側が速やかに墓石などを撤去し、遺骨を引き取ることになっています。
市や区が持つ公営の墓地では、工事の前とあとに、届け出の決まりがあります。たとえば神戸市と京都市の案内では、次のようになっています。
神戸市の墓園
- 工事の7日前までに、施工届を管理事務所に出す
- 工事のあとに、完成の届けと写真を出す
京都市の市営墓地
- 工事の前に許可を申請する。許可の連絡は、おおむね1週間以内
- 更地に戻したあとに、使用終了届を出す
京都市は、区画を元に戻さないと、墓地の使用の終わりを認めないとしています。なので、撤去の工事の日は、こうした届け出の日数も入れて、石材店と決めてください。
年度は4月から翌年の3月までなので、返す時期が4月をまたぐかどうかで、管理料が1年分変わることがあります。自分のお墓の管理者には、「今年度中に返す場合、管理料はいくら払うことになりますか」と聞いておいてください。
今日やること
- 1管理者に決まりを聞く名義人と区画の広さ(㎡)を書類で確かめてから、管理者に「墓じまいで区画を返すときの届け出と、今年度の管理料を教えてください」と聞く
- 2許可証の日数を聞く今のお墓の市区町村に「改葬許可を申請してから、許可証を受け取るまで何日かかりますか」と電話で聞く
- 3見積もりを頼む業者一覧から2社を選び、区画の広さと遺骨の数を伝えて、作業にかかる日数の入った見積書を頼む