お寺の墓地にお墓がある家は、そのお寺の「檀家(だんか)」になっていることがあります。墓じまいで檀家をやめることを「離檀(りだん)」といい、そのときにお寺へ渡すお金を「離檀料」と呼んでいます。
結論
- 離檀料は、お寺へのお礼として払うお布施の一種で、決まった金額の目安はありません。
- 払う約束があるかどうかは、墓地の使用規則や契約書に書いてあるかで確かめます。書いていなければ、お寺に請求の根拠を聞いてください。
- 納得できない金額は、その場で払わずに、消費者ホットライン(188)に相談してください。
公的な相談窓口には、お寺から次のような金額を言われたという相談が寄せられています。
| 言われたこと | 金額 | 資料 |
|---|---|---|
| 改葬の費用 | 100万円 | 国民生活センター |
| 離檀料 | 200万円 | 神奈川県 |
| 離檀料 | 300万円ほど | 国民生活センター |
| 過去帳の8人分 | 700万円 | 国民生活センター |
100万円の相談では、払わなければ遺骨を返してもらえないと言われ、300万円の相談では、払えないと伝えるとローンを組めると言われています。表の「過去帳」は、お寺が、亡くなった檀家の人の名前を書きとめておく帳面のことです。
どれも、高すぎると感じた人が窓口に相談した事例です。なので、ふつうの金額を示すものではありません。
払う義務があるか
国民生活センター・神奈川県・葛飾区は、どれも離檀料を「お寺へのお礼として慣習的に払うお布施の一種」と説明していて、明確な基準や目安は無いとしています。なので、ネットに出ている「相場」も、どこかで決められた金額ではありません。
東京都の消費生活総合センターは、檀家のお寺から高い費用を言われた相談に、「基本的には、使用者は自由に改葬を行うことができます」と答えています。使用者とは、お墓を使う権利を持っている人(お墓の名義人)のことです。
そのうえで東京都は、お寺に請求の根拠を確かめてから、納得がいくまで住職と話し合うよう助言しています。国民生活センターにも「規約などの定めもなく請求根拠が不明だ」という相談が寄せられているので、まずは墓地の決まりに書いてあるかを確かめてください。
お寺が改葬の書類(埋蔵証明書)を書いてくれないときは、代わりの書面で役所に申請できる場合があります。進め方はお寺が埋蔵証明書を出してくれないときで確かめてください。
墓地の使用規則で見るところ
墓地を使う約束ごとは、「墓地使用規則」などの名前の書面になっていることが多く、お墓を買ったときに渡されていることがあります。東京都の消費生活総合センターも、使用規則を渡されているなら、まずその中身を確かめるよう案内しています。
国は2000年に、墓地の契約の見本として「墓地使用に関する標準契約約款」を示しています。この見本の項目に合わせると、墓じまいのときに読む欄は次のとおりです。
墓地使用規則の見本(国の標準契約約款の項目。中身は例)数字は仮
| 使用者による契約の解除 | 書面でいつでも解除できる | ① |
| 既に払った使用料・管理料 | 返還を請求できない | ② |
| 解除した年の管理料 | 納めていなければ払う | ③ |
| 契約が終わったとき | 墓石を撤去し、遺骨を引き取る | ④ |
| 離檀のときの費用 | (書かれているか) | ⑤ |
- ①墓じまいをするときは、お墓の名義人のほうから書面で伝えて、契約を終わらせる
- ②お墓を買ったときの使用料や、これまで払った管理料は戻らない、というのが国の見本の決まり
- ③その年の分の管理料(墓地の手入れのために毎年払うお金)を納めたかを確かめる
- ④墓石を片付けて区画を返すのは、名義人の側の仕事。この工事のお金は石材店に払う
- ⑤離檀料の金額や払い方が書かれているか。書かれていなければ、お寺に根拠を聞く
①〜④は、国の見本に書かれている決まりです。⑤は国の見本には無い項目で、自分の家の規則に書いてあるかを確かめるために足しています。
ただし、この見本は、宗派を問わずに使える墓地を主に考えたもので、国も、お寺の墓地には寺院と檀家の結びつきがあって事情が違うことを認めています。お寺の墓地で規則が見当たらないときは、お寺に「墓地の規則か、檀家の決まりを書いたものはありますか」と聞いてください。
お寺から言われるお金の分け方
東京都に寄せられた相談では、お寺から「離壇料、境内修復費用、遺骨移動費、供養の費用」をまとめて言われていました。金額が大きく見えるときは、何のお金なのかを分けてみると、誰と何を話し合えばよいかがはっきりします。
規則で決まるお金
- 納めていない年の管理料など
- 規則や契約書に書いてある額
お布施(お礼)
- 離檀料・閉眼供養のお布施
- 決まった金額の目安は無い
工事のお金
- 墓石の撤去・区画を更地にする工事
- 見積書をもらって石材店に払う
閉眼供養(へいがんくよう)とは、お墓から遺骨を取り出す前に、お坊さんにお経をあげてもらう法要のことです。離檀料と同じく、お布施として渡すお金です。
工事のお金は、お寺ではなく石材店に払うものです。ただし、お寺から石材店を指定されることもあり、葛飾区には「うちの境内ではこの石材店以外の出入りは認めていない」と、ほかの業者の見積もりを断られた相談も寄せられています。
石材店の指定があるかどうかも、使用規則で確かめておくと安心です。指定が無ければ、墓石の撤去を受ける業者を墓じまいの業者一覧で探し、見積もりを比べられます。
金額の話し方
離檀料はお礼として渡すお金なので、お寺と言い争う形にしないほうが話は進みます。葛飾区も、金額に納得できないときは第三者を交えて話し合うよう案内しています。
- 1規則を読む墓地使用規則や契約書で、離檀や墓じまいのときの費用が書いてあるかを確かめる
- 2内訳と根拠を聞く「何のお金で、どの決まりにもとづくものか、書いたものをいただけますか」と頼む
- 3お礼の額を伝えるお礼として渡せる額を、こちらから伝える。払えない額なら、そうはっきり言う
- 4人を交えて話す親族や、檀家の代表を務める人(檀家総代)など、第三者に同席してもらう
内訳を聞くときは、お寺を責める言い方ではなく、「家族で相談するために、書いたものがほしい」と伝えると角が立ちません。書いたものがもらえなければ、言われた日・金額・言葉を、その日のうちにメモに残しておいてください。
払えない・高すぎるときの相談先
国民生活センターや神奈川県は、困ったときは消費者ホットライン(188)に相談するよう案内しています。188は、住んでいる地域の消費生活センターにつながる電話番号で、相談は無料です。
| 困っていること | 相談先 |
|---|---|
| 金額の根拠が分からない | 消費生活センター |
| お寺と話ができない | 宗派の相談窓口 |
| 証明書を書いてもらえない | お墓の市区町村 |
| 交渉を人に任せたい | 弁護士 |
実際に、消費生活センターが、お寺が属する宗派の相談日と電話番号を教えてくれた例があります。お寺と直接話ができなくなったときは、188で「宗派の相談窓口を教えてください」と聞いてみてください。
お寺との交渉を人に任せるなら、弁護士に頼んでください。弁護士でない人がお金をもらって交渉を代わりに引き受けることは、法律で禁じられています。
法テラスの無料相談の条件や、弁護士会の相談窓口は、お寺が埋蔵証明書を出してくれないときの「離檀料でもめたとき」の章で確かめられます。
今日やること
- 1規則を探すお墓を買ったときの書類から「墓地使用規則」や契約書を探し、離檀や墓じまいのときの費用の欄を読む
- 2書いたものを頼むお寺に「何にいくらかかるかを書いたものをいただけますか」と頼み、答えをメモに残す
- 3188に電話する納得できない金額なら、払う前に「墓じまいで離檀料を言われました。金額の根拠を聞きたいので相談させてください」と伝える
墓じまい全体の順番と日数は、墓じまいの段取りと日数で確かめられます。