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墓じまいのトラブル事例と防ぎ方|霊園の解約・納骨堂の追加費用・運営の破綻・勧誘の電話・親族、公的な事例8件と相談先

墓じまいでは、今のお墓がある霊園や寺院の墓地を返す契約と、遺骨を移す先の納骨堂や永代供養墓(お寺や霊園が代わりに供養と管理を続けるお墓)の契約という、2つの契約がかかわります。公的な窓口に寄せられた相談を見ると、お寺に払う離檀料のほかにも、この2つの契約の中身を知らないまま進めて、もめた事例があります。

結論

  • 今のお墓を返しても、最初に払った永代使用料(墓地を使う権利の代金)は戻らないのがふつうです。返す前に、墓地の使用規則で「返すときの決まり」を読んでください。
  • 移す先は、契約の前に「代金のほかにかかる費用」と「解約したら返るお金」を書面でもらってください。
  • 契約でもめたら消費者ホットライン(188)、お墓を継ぐ人が親族で決まらなければ家庭裁判所に相談できます。

国民生活センター・自治体の消費生活センター・消費者庁が公開している、墓地や納骨堂、墓じまいの事例のうち、離檀料が中心のものを除いた8件を、2026年10月18日に原文で読んで分けました。

何でもめたか 事例の数
霊園・墓地の解約 4件
納骨堂・永代供養の契約 2件
運営の破綻と遺骨 1件
勧誘の電話 1件

8件のうち5件は「払ったお金が戻らない」「解約料を言われた」という事例でした。また3件は、契約のときに聞いた説明や広告と、あとの扱いが違ったという事例です。

今のお墓を返すとき

霊園や寺院のお墓の土地は「買う」と言いますが、実際に手に入れているのは、その土地をお墓として使う権利です。なので、使わなくなって返しても、最初に払った永代使用料は戻らないのがふつうだと、東京都の消費生活総合センターは説明しています。

相談の中身 言われたこと
遠いので解約したい 使用料は戻らない
使わない墓地を売りたい 売れず無償で返す
宗派が違い解約したい 解約料を請求
近くへ移りたい 移転を妨げる書類

生駒市の消費生活センターは、使わない墓地を霊園に返す相談に、墓石を建てていたら自分の負担で墓石を撤去して、更地にして返すことになると答えています。墓石を片付ける工事の見積書の読み方は、墓石の撤去の見積書の読み方と指定石材店で確かめられます。

表のいちばん下は、国民生活センターの紛争解決委員会(ADR:裁判の外で、間に入って話し合いをまとめる手続き)が扱った事例です。ある霊園で、契約していた人たちに管理料の値上げと寺院の檀家になる義務を書いた書面が届き、近くの霊園に移りたいと伝えると、移転を妨げるような書類が届きました。

この事例で仲介委員は、墓地の使用契約はこの先に向けて解約できるとしたうえで、改葬(遺骨をほかのお墓に移すこと)で霊園が一定の条件を求めることにも合理性があると判断しました。値上げについては、値上げする管理料の額は年8,000円が上限ではないかと示しましたが、話がまとまったのは6人のうち2人だけでした。

東京都の消費生活総合センターも、契約のときに渡された使用規則などをよく読み、困ったときは消費生活センターに相談するよう助言しています。市や都の公営墓地を返すときに戻るお金と補助は、墓じまいの費用の内訳と、誰がどう分けて払うかの「公営墓地を返すと戻るお金」の章で確かめられます。

納骨堂・永代供養の契約

遺骨を移す先の契約でも、もめごとが起きています。国民生活センターのADRが扱った事例では、母を納めるために約310万円で納骨堂の納骨壇(遺骨を納める棚)を買うとき、担当者から「購入代金のほかの費用は一切かからない」と説明を受けていました。

ところが、父が建てたお墓を墓じまいして、そこの遺骨も納骨堂に納めようと電話すると、1人につき約5万円がかかると言われました。メールで問い合わせると、納骨手数料や納骨法要供養料などの名目で約22万円がかかるという返事が来て、この人は消費生活センターに相談しています。

納骨堂・永代供養墓と契約する前に書面でもらう項目の見本(項目名は国民生活センターの事例の書き方。中身は例)数字は仮

納骨壇の購入代金〇〇円①
納骨料(納骨手数料)1人〇〇円②
納骨法要供養料・初檀開眼代〇〇円③
管理規約契約の前に受け取る④
解約したときの返金納骨前・納骨後で〇割⑤
  1. ①「購入代金のほかは一切かからない」と言われたら、その言葉を書面かメールで書いてもらう
  2. ②あとから遺骨を足すときに、1人ごとにかかるお金。墓じまいで何人分を移すかを伝えて、合計を出してもらう
  3. ③納めるときの法要に、お布施とは別の名目の費用がかかるか
  4. ④事例では、管理規約は代金を払ったあとで郵送されていた。払う前にもらって読む
  5. ⑤遺骨をまだ納めていないときと、納めたあとで、いくら返るかを分けて書いてもらう

⑤の解約のお金では、永代供養の契約の書面に「納骨の前に解約しても、契約日からの日数に応じた率でしか返さない」と書いていた寺院に対して、国が認めた消費者団体(適格消費者団体)が裁判を起こしました。この団体は、この条項は寺院の平均的な損害の額を超えると主張し、2024年3月25日に、寺院が条項を改める内容で和解しています。

なので、解約したときに返るお金が少ないと感じたら、契約書に書いてあるからとあきらめる前に、消費生活センターに相談してください。国民生活センターの『国民生活』に載った墓園協会の解説も、移す先はパンフレットだけを見ずに、使用規則や料金表を見るよう勧めています。

移す先ごとの合葬の時期や管理料、契約書で読む欄は、墓じまいの移す先の選び方の「契約で確かめること」の章で確かめられます。

運営の破綻と遺骨

札幌市の消費者センターに寄せられた墓の相談は、2022年10月に、前の月の1件から27件に増えました。その中には、6年前に70万円で契約した納骨堂を運営する事業者が破綻して、建物を明け渡すよう裁判所から命じられていたのに、事業者から何の連絡も無かったという相談がありました。

相談した人は、返金はあきらめたが遺骨を持ち帰らなければならないとして、遺骨を家に置いてよいか、次の納骨堂との手続きはどうするかを聞いています。札幌市の消費者センターは、家で保管しても問題ないと伝え、今後の扱いと手続きは次の契約先に相談するよう伝えました。

納骨堂から遺骨を引き取ることになったら
  1. 1証明書をもらう今の納骨堂の管理者から、遺骨を納めていたことの証明書(埋蔵・収蔵証明書)をもらって、遺骨と一緒に保管する
  2. 2家に置く霊園や納骨堂から取り出して家で保管するだけなら、改葬許可は要らない
  3. 3次の納め先に相談ほかの納骨堂やお墓に納めるときは改葬許可が要るので、次の契約先と市区町村の窓口に手続きを聞く

札幌市は、家で保管している遺骨を将来ほかの霊園に納めるときに改葬許可が要るので、そのときのために証明書をもらっておくよう案内しています。また、破産したときに払ったお金が戻るかは、破産の手続きで残った財産次第で、この事例では分からないと説明されていました。

家で遺骨を保管するときの決まりや、分骨・散骨の手続きは、分骨・散骨・自宅で手元供養するときの手続きで確かめられます。

勧誘の電話

東京都の消費生活総合センターには、新しく売り出す霊園の墓地を勧める電話が家に何度もかかり、断っても別の石材店からも電話が来る、という相談が寄せられています。センターは、断っている人に電話で勧誘を続けることは法律で禁止されていると答えています。

クーリング・オフが当たる契約と当たらない契約、墓じまいの代行業者に任せてよい範囲は、墓じまい代行業者に頼めること・頼めないことで確かめられます。

親族とのもめごと

公的機関が公開している相談事例を探しましたが、親族どうしのもめごとの事例は見つかりませんでした。ただし、『国民生活』の墓園協会の解説は、墓じまいの前に、なるべく多くの親族と相談して、良い点・悪い点を話し合うよう勧めています。

親族でもめそうなときに、法律で決まっていること

お墓を継ぐ人

  • 亡くなった人の指定か、その土地の慣習で決まる
  • それでも決まらなければ、家庭裁判所が決める

相続との関係

  • お墓は遺産分割の対象にならない
  • 相続放棄をしても、お墓は受け継げる

お墓を継ぐ人(祭祀承継者)が決まらないときは、家庭裁判所に、継ぐ人を決めてもらう申し立てができます。名義人が亡くなっているときの申請の仕方と、親族の同意が書類で要るかは、名義人が亡くなっている・書けないときの墓じまいで、費用を親族でどう分けるかは、墓じまいの費用の内訳と、誰がどう分けて払うかで確かめられます。

防ぎ方と相談先

ここまでの事例を、もめごとの種類ごとに、先にしておくことと相談先に分けると、次のようになります。お寺から言われる離檀料のことは、離檀料の相場と払う義務で確かめてください。

もめごと すること 相談先
墓地を返す 使用規則を読む 188
移す先の契約 費用を書面で 188
事業者の破綻 証明書をもらう 次の納め先
勧誘の電話 はっきり断る 188
親族 先に話し合う 家庭裁判所

消費者ホットライン(188)に電話すると、住んでいる地域の消費生活センターにつながります。消費生活センターで話がまとまらなかったもめごとのうち、全国的に大事なものは、国民生活センターの紛争解決委員会が間に入る手続き(ADR)に進むことがあります。

親族とのもめごとや、法律の問題を弁護士に聞きたいときは、法テラスのサポートダイヤル(0570-078374(平日9時〜21時・土曜9時〜17時))で、無料の法律相談を受けられるかを聞けます。改葬許可の書類のことは、『国民生活』の解説のとおり、改葬許可証を出す市区町村の窓口に前もって相談しておくと安心です。

今日やること

  1. 1今のお墓の使用規則を出す返すときに戻るお金、墓石の撤去を誰の負担でするか、区画をどこまで戻すかの3つに印をつける
  2. 2移す先に書面でもらう「購入代金のほかにかかる費用を、移す人数分で全部書いてください。解約したときに返るお金も、納骨の前と後に分けて書いてください」と頼む
  3. 3親族に先に話すお墓に入っている人の子や兄弟に、移す先と費用の分け方を話してから契約する。契約でもめたら188に電話する

墓じまい全体の順番と日数は、墓じまいの段取りと日数で確かめられます。

出典

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