墓じまいの費用は、1枚の請求書でまとめて払うお金ではありません。役所・お寺・石材店・移す先の墓地と、払う相手が違う5つのお金を足したものです。
なので、「墓じまいはいくら」という1つの決まった額はありません。5つのお金を、それぞれの相手が出す書面(手数料の案内・見積書・募集要項・墓地の規則)で確かめて、足していくことになります。
結論
- 費用は5つに分け、金額は払う相手の書面で確かめます。役所の手数料は無料か300円です。
- 墓石を片付けて遺骨を引き取るのは、お墓の名義人か、お墓を継いだ人です。親族で分けるなら、誰が何を払うかを先に書いて決めてください。
- 公営墓地を返すなら、戻るお金と補助を市に聞いてください。10自治体のうち、使用料の一部が戻るのは4自治体、撤去費の補助があるのは2自治体でした。
| お金 | 払う相手 | 金額の決まり方 |
|---|---|---|
| 改葬許可の手数料 | 市区町村 | 無料か300円 |
| 閉眼供養のお布施 | お寺 | 目安なし |
| 墓石の撤去 | 石材店 | 見積書 |
| 移す先の費用 | 移す先 | 募集要項・契約書 |
| 離檀料 | お寺 | 目安なし |
5つのお金の中身
1つ目の改葬許可の手数料は、遺骨を移す許可を出す市区町村に払います。県庁所在地・政令市・東京の区の57市区では、手数料を公式ページに書いている20市区のうち17市区が無料で、有料の3市区もどれも300円でした。
2つ目の閉眼供養(へいがんくよう)は、遺骨を取り出す前にお坊さんにお経をあげてもらう法要で、お寺にはお布施として渡します。5つ目の離檀料(檀家をやめるときにお寺に渡すお金)もお布施の一種で、国民生活センターなどの公的な窓口は、明確な基準は無いと説明しています。
3つ目の墓石の撤去は、墓石を壊して運び出し、区画を更地に戻す工事で、石材店に払います。公的な機関が示す金額は無く、神戸市も、市はお墓の撤去をせず、使用者が自分で石材業者に頼むよう案内しているので、金額は石材店の見積書で決まります。
撤去の見積書の読み方は、墓石の撤去の見積書の読み方と指定石材店で確かめられます。撤去を受ける業者は、墓石の撤去を受ける業者の一覧から地域ごとに探して、2社以上の見積書を比べてください。
4つ目の移す先の費用は、新しい納め先に払う使用料などです。市や都が運営する公営の合葬墓(ほかの人の遺骨と一緒に納めるお墓)なら募集要項に原文で書いてあり、1体の使用料は札幌市の9,100円から、さいたま市の140,000円まで幅があります。
- 永代使用料
- 38,000円 × 2人
- 永代管理料
- 9,400円 × 2人
- 改葬許可の手数料
- 仙台市に聞く
- 墓石の撤去・更地に戻す工事
- 石材店の見積書の額
- 閉眼供養のお布施
- お寺と相談
※ 人数は仮の例です。使用料と管理料は、仙台市の募集案内に書かれた1人分の額です。
※ 仙台市は、今のお墓の管理料を払い済みなら月割りで返します。くわしくは「公営墓地を返すと戻るお金」の章で確かめてください。
このように、原文で額が決まっているのは手数料と公営の使用料くらいで、撤去とお布施は相手に聞くまで分かりません。移す先を永代供養墓・樹木葬・納骨堂・公営の合葬墓のどれにするかの比べ方は、墓じまいの移す先の選び方で確かめられます。
相談事例の金額
公的な相談窓口には、墓じまいで高い金額を言われたという相談が寄せられています。5つのお金に当てはめると、大きな金額が出ているのは、お寺に払うお金と、何のお金か分けずにまとめて言われたお金です。
離檀料(お布施)
- 神奈川県:離檀料として200万円
- 国民生活センター:300万円ほどの離檀料、過去帳に8人の名前があるので700万円
まとめて言われたお金
- 国民生活センター:お寺から改葬費用100万円(予算は20万円)
- 東京都:離壇料・境内修復費用・遺骨移動費・供養の費用
墓石の撤去
- 葛飾区:お寺から石材店を指定され、費用も高額だった
どれも、高すぎると感じた人が窓口に相談した事例なので、ふつうの金額を示すものではありません。ただし、金額が大きい相談ほど、何のお金かが分かれていないことが分かります。
東京都の消費生活総合センターは、お寺に請求の根拠を確かめたうえで、納得がいくまで住職と話し合うよう助言しています。言われた金額を5つのどれに当たるかで分けてもらい、それでも納得できなければ、払う前に消費者ホットライン(188)に相談してください。
離檀料をお寺とどう話すかと、墓地の規則で見るところは、離檀料の相場と払う義務で確かめられます。
誰が払うか
お墓は、預金や家のような遺産とは別の決まりで受け継がれます。民法では、お墓は祖先の祭祀(お参りや法要)を中心になって行う人が受け継ぐとされていて、家庭裁判所も、お墓は遺産分割の対象にならないと説明しています。
この、お墓を受け継ぐ人を「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」と呼びます。誰にするか親族で決まらないときは、家庭裁判所に決めてもらう申し立てができます。
国が示した墓地の契約の見本(墓地使用に関する標準契約約款)では、契約が終わったら墓石を撤去して遺骨を引き取るのは名義人で、名義人が亡くなっていれば祭祀承継者もその義務を負うとしています。なので、墓地に返還を届け出て、石材店と契約し、お金を払う窓口になるのは、名義人か祭祀承継者です。
ただし、民法も国の契約の見本も、そのお金を兄弟や親族でどう分けるかまでは書いていません。分けるなら、親族で話し合って決め、次のように書いて残しておくと、あとで「聞いていない」とならずにすみます。
親族で費用を分けるときのメモの見本(中身は例)数字は仮
| 契約・支払いをする人 | 長男 〇〇(名義人) | ① |
| 改葬許可の申請 | 長男 〇〇 | ② |
| 閉眼供養・離檀料 | 上限〇万円、3人で等分 | ③ |
| 墓石の撤去 | 2社の見積書のうち〇〇社の額を、3人で等分 | ④ |
| 移す先の使用料 | 長女 〇〇 | |
| 戻るお金・補助の受け取り | 長男 〇〇の口座で受け、3人で等分 | ⑤ |
- ①墓地や石材店とのやり取りと支払いは、名義人か祭祀承継者の名前で行う。立て替えた分を誰がいつ精算するかも書く
- ②名義人でない人が改葬許可を申請するときは、名義人の承諾書が要る
- ③お布施には決まった目安が無いので、親族で上限の額を先に決めておくと、お寺との話がぶれない
- ④見積書の「一式」「別途」の中身まで見てから決める。追加の工事が出たときに誰が払うかも書いておく
- ⑤還付や補助は、名義人や申請した人の口座に払われる。太田市は、申請者と受け取る口座を同じ名義にするよう求めている
亡くなった親の預金はお墓と違って遺産なので、そこから墓じまいのお金を出すなら、ほかの相続人の了解を取っておいてください。名義人が亡くなっていて、誰がお墓を継ぐかがまだ決まっていないときは、名義人が亡くなっている・書けないときの墓じまいで、継ぐ人の決め方と届け出を先に確かめてください。
公営墓地を返すと戻るお金
市の墓地を返すときに、最初に払った使用料や、毎年の管理料が戻るかどうかは、市ごとに決まっています。10自治体の公式ページや募集資料を、2026年10月18日に読みました。
| 自治体 | 使用料 | 管理料 |
|---|---|---|
| 仙台市 | 3年以内は半額 | 月割りで戻る |
| 川崎市 | 3年以内は半額 | 書いていない |
| 袋井市 | 3年以内・未使用は半額 | 戻らない |
| 岡山市 | 未使用は半額 | 先の年度分が戻る |
| 京都市 | 戻らない | その年度分 |
| 神戸市 | 書いていない | その年度分 |
| 札幌市 | 書いていない | 戻らない |
使用料の一部が戻ると書いているのは4自治体ですが、そのうち3自治体は使用の許可を受けてから3年以内に返す場合に限り、岡山市は遺骨を一度も納めていない区画に限っています。なので、遺骨が入っていて長く使ってきた親のお墓は、どちらの条件にも当たりません。
管理料は、返したあとの分が戻ると書いているのが2自治体で、年度の途中で返してもその年度の分を払う、または払った分は戻らないと書いているのが4自治体でした。年度は4月から翌年の3月までなので、返す日が3月か4月かで、管理料が1年分変わることがあります。
国の契約の見本でも、契約を解除したときにすでに払った使用料と管理料は返してもらえず、解除した年の管理料を納めていなければ払うことになっています。お寺や民間の霊園なら、墓地の規則に同じような決まりがあるかを確かめてください。
自治体の補助
墓じまいの費用を補助する自治体もありますが、対象はその市の墓地を返す人に限られています。10自治体のうち、墓石の撤去の費用を補助すると書いているのは2自治体で、神戸市のように、助成金制度は設けていないと書いている市もあります。
浦安市(浦安市墓地公園)
- 墓石の撤去など、区画を元に戻す費用に補助(上限150,000円)
- 申請に石材店の見積書の原本を出し、職員が立ち会う完了検査を受ける
- 墓所を返すときは、その遺骨を使用料なしで市の合葬式墓地に移せる
太田市(群馬県・八王子山公園墓地)
- 撤去に払った額か20万円の、低いほう(祭祀費用は除く)
- 撤去が終わってから、明細書と領収書を付けて申請する
神戸市(市立墓園・墓地)
- 墓じまいの助成金制度は設けていない
- 市は撤去をせず、使用者が石材業者に頼む
太田市は、補助の対象は八王子山公園墓地の墓石の撤去の費用だけで、ほかの墓地の撤去は対象外としています。なので、お寺の墓地や民間の霊園にあるお墓は、こうした補助の対象になりません。
また太田市は、明細書や領収書に撤去以外の費用が入っていると、その分を助成金から差し引きます。補助を申し込むなら、石材店に「撤去の工事と、それ以外の費用を分けて明細書と領収書を書いてください」と、見積もりの段階で頼んでおいてください。
自分のお墓がある市に補助があるかは、市の墓地の担当課に電話して、「市営墓地を返すときに、墓石の撤去の補助や、使用料・管理料が戻る決まりはありますか」と聞くのが確かです。
今日やること
- 15つに分けて書き出す改葬許可の手数料・閉眼供養・墓石の撤去・移す先・離檀料の5行の表を作り、分かっている額と、誰に聞けば分かるかを書く
- 2名義人と分け方を決めるお墓の名義人か継ぐ人を決め、親族に「契約と支払いは〇〇がして、撤去とお布施は〇人で等分にしたい」と伝えて、メモに残す
- 3市やお寺に聞く公営墓地なら市に「返すときに戻るお金や補助はありますか。管理料は何月分まで払いますか」と聞く。お寺なら「何にいくらかかるかを書いたものをいただけますか」と頼む
墓じまい全体の順番と日数は、墓じまいの段取りと日数で確かめられます。