お墓や納骨堂に納めてある遺骨を、別のお墓や納骨堂へ移すことを「改葬(かいそう)」といいます。墓じまいで遺骨を移すときは、市区町村に申請して「改葬許可証」という許可の書類をもらい、それを持って遺骨を移すことが法律で決まっています。
結論
- 申請先は、遺骨が今あるお墓の市区町村です。あなたの住所の役所ではありません。
- 出すのは、申請書と、今のお墓の管理者に書いてもらう「埋蔵証明」です。お墓の名義人でない人は、名義人の承諾書も付けます。
- 改葬許可証を受け取ってから遺骨を取り出し、その許可証を新しいお墓や納骨堂の管理者に渡します。
申請する人と申請先
改葬許可は、遺骨を移そうとする人が申請します。名義人でない人も申請できますが、申請書には、申請する人とお墓の名義人との関係を書く欄があります。
お墓の名義人とは、お墓を使う権利を持っている人のことで、法律では「墓地使用者」と呼びます。親が名義人のまま亡くなっている場合は、誰が名義を継いだかを先に確かめておくと、あとで書類を出し直さずにすみます。
申請先は、遺骨が今あるお墓の市区町村です。たとえば、東京に住む人が、静岡市にある親のお墓の遺骨を横浜市の納骨堂に移すなら、申請先は静岡市になります。
| 場所(仮の例) | 申請先か |
|---|---|
| 自分の住所(東京) | ちがう |
| 今のお墓(静岡市) | ここに出す |
| 移す先(横浜市) | ちがう |
申請書の様式も、今のお墓がある市区町村のものを使います。市区町村ごとに様式が違うので、自分の住所の役所で申請書をもらっても使えないことがあります。
そろえる書類
法律で決まっている書類は、次の3つです。
- 1今のお墓の管理者の証明遺骨がそのお墓に納めてあることを、管理者(お寺の墓地なら住職、霊園なら管理事務所)に証明してもらう。「埋蔵証明」と呼ばれる
- 2名義人の承諾書申請する人がお墓の名義人でないときだけ。名義人に「改葬を承諾します」と書いてもらう
- 3市区町村が求める書類市区町村ごとに違う。案内のページで確かめる
3つ目の「市区町村が求める書類」には、市区町村ごとの違いが出ます。たとえば、移す先が遺骨を受け入れることを示す「受入証明書」を、大阪市平野区は必要な書類に挙げています。
一方、横浜市の案内に書かれている必要なものは、埋蔵証明の入った申請書と、名義人と申請者が違うときの委任状か承諾書だけです。
なので、移す先と契約したときにもらう使用許可証や契約書は、捨てずに取っておいてください。受入証明書が要る市区町村では、その書類の原本を出すことがあります。
申請書の書き方
申請書の欄は、法律で決まった項目でできています。静岡市の様式で、迷いやすい欄は次の①〜⑤です。
改葬許可申請書の見本(静岡市の様式の欄。中身は例)数字は仮
| 死亡者との続柄 ※死亡者から見て | 子 | ① |
| 墓地使用者等との関係 ※墓地使用者等から見て | 本人 | ② |
| 本籍(死亡当時) | 〇〇町1 | ③ |
| 火葬又は埋葬(土葬)の場所 | 〇〇斎場 | |
| 改葬の理由 | 墓じまい | |
| 改葬の場所 | 〇〇霊園 | ④ |
| 墓地使用者等の承諾欄 | 空欄 | ② |
| 墓地管理者等の証明欄 | 〇〇寺 | ⑤ |
- ①亡くなった人から見て、申請する人が誰に当たるか。亡くなった父の遺骨を子が移すなら「子」
- ②お墓の名義人から見た申請者。名義人本人が申請するなら「本人」で、承諾欄は書かなくてよい。名義人でなければ、承諾欄に名義人が署名する
- ③本籍と住所は、今のものではなく、亡くなった当時のものを書く
- ④移す先のお墓や納骨堂の所在地と名前(例:横浜市〇〇区の〇〇霊園)。移す先が決まっていないと書けない
- ⑤今のお墓の管理者(お寺なら住職)が「埋葬・納骨の事実を証明します」と書く欄。ここが「埋蔵証明」になる
静岡市や横浜市のように、管理者の証明欄が申請書の中にある市区町村では、申請書を今のお墓の管理者に持っていって、証明欄を書いてもらいます。管理者が別の用紙で証明書を出す場合もあり、横浜市はそれでもよいとしています。
お寺が証明欄を書いてくれないときは、代わりの書面で申請できる場合があります。進め方はお寺が埋蔵証明書を出してくれないときで確かめてください。
57市区の手数料と郵送
県庁所在地・政令市・東京の区の57市区について、改葬許可の公式ページに書かれていることを数えました(2026年10月16〜17日に確認)。
| 公式ページの記載 | 市区の数 |
|---|---|
| 手数料を書いている | 20市区 |
| そのうち無料 | 17市区 |
| そのうち有料 | 3市区・300円 |
| 郵送で申請できる | 32市区 |
| オンラインで申請できる | 3市区 |
手数料を書いている市区のほとんどは無料で、有料の市区もどれも300円でした。ただし、残りの37市区は公式ページに手数料が書かれていないので、窓口に電話して聞いてください。
また、有料の3市区は、何について300円かがそれぞれ違います。富山市は申請書1通ごと、静岡市は遺骨1体ごと、奈良市は1枚ごとです。
- 手数料(遺骨1体ごと)
- 300円 × 2体
※ 人数は仮の例です。静岡市の手数料の数え方で計算しています。
郵送で申請できると公式ページに書いている市区は32市区ありますが、堺市のように、郵送では受け付けないと書いている市区もあります。郵送するときは、次のことを先に確かめておくと、書類が戻ってきたりせずにすみます。
- 返信用の封筒:横浜市は、住所を書いて切手を貼った返信用封筒を一緒に送るよう案内しています。
- 原本を送るか:大阪市平野区は、霊園の使用許可書のように1部しかない書類も原本を送るよう求めています。そのかわり、確かめたあとで許可書と一緒に返してもらえます。
- 有料の市区の払い方:富山市は、郵送のときは郵便小為替(郵便局で買える、お金の代わりに送れる証書)で払うよう案内しています。
自分のお墓がある市区町村の窓口・手数料・郵送の可否は、市区町村別の改葬許可の窓口で見られます。
許可証を受け取ったあと
許可証は、申請したその日に受け取れるとは限りません。たとえば長野市は、窓口で申請しても、その日には許可証を受け取れないと案内しています。
なので、遺骨を取り出す日や納骨の日は、許可証を受け取ってから決めると安心です。
今のお墓
- 許可証を見せて、遺骨を取り出す
- 許可証は渡さずに持ち帰る
新しいお墓・納骨堂
- 許可証を管理者に渡す
- 受け取ってもらってから納骨する
新しいお墓や納骨堂の管理者は、改葬許可証を受け取るまで、遺骨を納めさせてはいけないと法律で決まっています。なので、許可証を家に置き忘れると、その日は納骨できません。
また、新しいお墓では、使用許可書や、そのお墓の様式の「埋葬届」を求められることがあります。納骨の日を決めるときに、何を持っていけばよいかを新しいお墓の管理者に聞いておいてください。
今日やること
- 1名義人を確かめる今のお墓の管理者に電話して「〇〇家のお墓の名義人は、今どなたになっていますか」と聞く
- 2移す先と書類を決める移す先の管理者に「改葬許可の申請に使う受入証明書は出してもらえますか」と聞く
- 3今のお墓の役所を調べる市区町村別の改葬許可の窓口で、申請書の様式・手数料・郵送の可否を見る