閉眼供養(へいがんくよう)とは、お墓から遺骨を取り出して墓石を片付ける前に、お坊さんにお経をあげてもらう法要のことです。新しい仏像やお墓を迎えるときの「開眼供養」(俗に「魂入れ」)に対して、片付けるときにする法要で、「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます。
結論
- 閉眼供養は、改葬許可の申請に付ける書類ではありません。するかどうかと、何という法要にするかは、宗派とお寺の考え方で決まります。
- お布施の金額は、法律にも決まりがなく、真宗大谷派は「本来金額に決まりはない」、臨済宗妙心寺派は本山の規定も指定も無いと書いています。金額は、閉眼供養を頼むお寺に前もって聞いてください。
- 付き合いのお寺が無いときは、まず墓地の管理者に「よそのお坊さんを呼んでよいか」を聞き、そのうえで石材店に紹介や手配を頼みます。
法律(改葬許可)
- 申請に付けるのは、管理者の埋蔵の証明や名義人の承諾書など
- 閉眼供養は、この書類に入っていない
宗派とお寺
- 日蓮宗は、改葬で墓石を片付けるときに必ず「御霊抜き」をする
- 浄土真宗(本願寺派・大谷派)は、魂を入れるという考え方をとらない
墓地と業者
- お寺の墓地では、そのお寺の決まりに従う
- 業者一覧18社で、お布施を料金に含めると書いている業者は0社
頼む時期と、法律との関係
遺骨を別のお墓に移すには市区町村の改葬許可が要り、申請に付ける書類は国の規則で決まっています。規則が挙げているのは、今のお墓の管理者が書く埋蔵の証明(遺骨がそのお墓に納めてあることの証明)、名義人でない人が申請するときの名義人の承諾書、それに市区町村長が特に必要と認める書類で、閉眼供養はこの中に入っていません。
なので、閉眼供養は法律の手続きではなく、宗派やお寺の考え方でする法要です。ただし、お寺の墓地では、そのお寺が閉眼供養をしてから遺骨を取り出すと決めていることがあるので、墓じまいを伝えるときに一緒に聞いておいてください。
宮崎県小林市の市営墓地の案内は、改葬許可証があれば魂抜きや、移す先での開眼供養(魂入れ)ができると書いています。業者の公式ページにも、閉眼供養を終えてから遺骨を取り出し、墓石を撤去する順番で書いているものがあります。
閉眼供養の日と遺骨を取り出す日は、改葬許可証を受け取ってから、お寺と石材店の両方に都合を聞いて決めると、日程をやり直さずにすみます。許可証を受け取るまでの日数と、墓じまい全体の順番は、墓じまいの段取りと日数で確かめられます。
宗派による呼び名と考え方
閉眼供養の呼び名や考え方は、宗派によって違います。宗派の本山や宗務庁の公式ページで、お墓や仏像の魂を抜く・入れることについて、次のように書かれていました。
| 宗派 | 公式ページの書き方 |
|---|---|
| 日蓮宗 | 改葬では必ず御霊抜き |
| 浄土宗 | 撥遣式(はっけんしき) |
| 浄土真宗本願寺派 | お性根入れとは言わない |
| 真宗大谷派 | 魂を入れる受けとめは無い |
日蓮宗は、改葬で墓石を片付けるときは必ず「御霊抜き」の法要をして、法要のことは菩提寺(家のお墓があり、法事を頼んでいるお寺)の住職に相談するよう案内しています。浄土宗は、仏像や位牌などの魂を抜く儀式を「撥遣式」と呼んでいます。
浄土真宗は、本願寺派も大谷派も、お坊さんが魂を入れるという考え方をとらないと書いています。たとえば本願寺派は、お墓ができたときの法要を「建碑式」と呼び、「お性根入れ」とは言わないとしています。
なので、浄土真宗の家では「閉眼供養(魂抜き)をお願いします」ではなく、「墓じまいで遺骨を取り出すのですが、どんなお勤めをしていただけますか」と、お寺に聞くと話が早く進みます。
浄土宗は、お墓を移すときは、移す先を決めて手続きを終えてから伝えるのではなく、はじめに菩提寺に相談するよう案内しています。檀家をやめるときのお寺との話し方は、離檀料の相場と払う義務で確かめられます。
お布施の決まり方と渡し方
閉眼供養のお礼は、お布施として渡します。お布施の金額や性質について、宗派・仏教の団体・国の機関は、次のように書いています。
金額
- 本来、金額に決まりはない(真宗大谷派)
- 本山としての規定も指定も無く、各寺院か地域の判断(臨済宗妙心寺派)
性質
- 読経や法事への報酬・対価ではない(浄土宗・全日本仏教会)
- 宗教活動への喜捨金なので、消費税はかからない(国税庁)
表書き
- 「御布施」と書く。「御礼」「御経料」はふさわしくない(本願寺派)
- 書き方は地域で習慣が違う(天台宗)
ネットで見かける「閉眼供養のお布施は〇万円」という金額は、法律や国が決めたものではなく、今回読んだ宗派の公式ページにも、閉眼供養のお布施の額を示したものはありませんでした。真宗大谷派は、金額に迷ったらお寺の住職に前もって尋ねるよう案内していて、天台宗も、包み方に迷ったら菩提寺の住職に尋ねるよう書いています。
金額を聞くのは失礼ではないかと心配する人もいますが、真宗大谷派や天台宗の側も、住職に尋ねるよう案内しています。言われた額は、その日のうちにメモに残しておくと、親族で費用を分けるときに役立ちます。
墓じまいの費用を誰がどう分けて払うかは、墓じまいの費用の内訳と、誰がどう分けて払うかで確かめられます。お寺から閉眼供養のお布施とは別に、檀家をやめるお礼(離檀料)を言われたときは、離檀料の相場と払う義務を見てください。
業者一覧18社の閉眼供養の扱い
墓石の撤去を頼む業者は、閉眼供養をどう扱っているのか。業者一覧で墓石の撤去を受ける18社(石材店13社・代行5社)の公式ページを、2026年10月18日に1社ずつ読みました。
- お布施を墓じまいの料金に含めると書いている業者:0社
- 閉眼供養はお寺(菩提寺の住職など)に頼む、と書いている業者:5社
- お布施は業者の見積もりとは別にお寺に払う、と書いている業者:5社
- 誰がお坊さんを頼むかを書いていない業者:8社
閉眼供養のお布施を墓じまいの料金に含めると書いている業者は、1社もありませんでした。なので、墓じまいの見積もりにはお布施が入っていないものと考えて、別に用意しておきます。業者にお坊さんの手配を頼むときは、次のように手配の料金が別にかかります。
手配の料金は、石材店の1社が33,000円で、お経代・お車代を含むと書いています。代行業者の2社は38,500円(税込)と55,000円(税込)で、どちらも墓じまいのセットや撤去の料金とは別の項目です。
料金に何が含まれるかは業者ごとに違うので、手配を頼むときは、お車代や宗派の指定が含まれるかを聞いてください。
付き合いのお寺が無いとき
公営の墓地や民間の霊園にお墓があり、付き合いのお寺が無いときは、次の順番で頼む先を決めると迷いません。
- 1墓地の管理者に聞く「閉眼供養をしたいのですが、決まりはありますか。外からお坊さんを呼んでもよいですか」と聞く
- 2宗派を確かめる親族に、葬儀や法事を頼んだお寺と宗派を聞く。分かれば、まずそのお寺に相談する
- 3石材店に紹介や手配を頼む撤去を頼む石材店に「閉眼供養のお坊さんを紹介や手配してもらえますか。料金に何が含まれますか」と聞く
お寺の墓地の場合は、そのお寺の決まりに従います。曹洞宗も、墓地使用規則があるお寺では規則で決めた手続きを守るべき場合があり、規則の中身は墓地の管理者(お寺の墓地なら住職)に尋ねるよう案内しているので、よそのお坊さんを呼ぶ前に必ず聞いてください。
業者や会社が、お布施の額をあらかじめ決めて示す「定額の手配」もあります。
全日本仏教会は、お布施はサービスの対価ではないとして、営利企業がお布施を定額で示すことに反対してきました。一方で同じ談話の中で、お寺は相談しにくいという声を受けとめ、寺院の運営に生かしていかなければならないとも書いています。
国民生活センターには、葬儀やお墓のサービスで「価格やサービス内容について十分な説明がない」という相談が寄せられていて、葬儀の相談にはお坊さんの依頼に関するものも含まれています。説明と違う料金を言われたときは、払う前に消費者ホットライン(188)に相談してください。
今日やること
- 1宗派と頼む先を確かめる親族に、葬儀や法事を頼んだお寺と宗派を聞き、お墓がお寺の墓地か、公営・民間の霊園かを書類で確かめる
- 2お寺か管理者に電話するお寺には「遺骨を取り出す前のお勤めをお願いしたいのですが、お布施はどのくらいお包みすればよいでしょうか」と聞き、霊園なら管理者に「外からお坊さんを呼んでもよいですか」と聞く
- 3日にちを合わせる改葬許可証を受け取ったら、お寺と石材店に都合を聞き、閉眼供養と遺骨の取り出しの日を決める