掲載 23 社改葬許可 57 市区

墓じまい(離檀)をお寺にどう切り出すか|伝える順番・会う/手紙の使い分け・手紙の例文

更新日:出典の確認日:2026年10月20日調べた人:墓じまい比較ナビ(運営 株式会社楽笑)

お寺の墓地にお墓がある家は、そのお寺の「檀家(だんか)」になっていることがあります。檀家とは、法事などをそのお寺に頼み、お寺を支える家のことで、そのお寺を「菩提寺(ぼだいじ)」と呼びます。墓じまいで檀家をやめることを「離檀(りだん)」といいます。

お寺に墓じまいを切り出すのは、親族とお墓の名義人で方針を決めたあと、移す先と契約する前です。伝えるのは、お礼・墓じまいを考える理由・移す先の候補・相談したいことの4つで、近くなら会って、遠ければ手紙で相談します。お布施や離檀料の額は、こちらから決めて書かずに、お寺に「どのくらいお包みすれば」と聞きます。

市営・都営などの公営墓地や、住職のいない民間の霊園には、檀家の関係がありません。話す相手は管理事務所や市の担当課で、進め方は公営墓地の墓じまいと墓じまいの段取りと日数にあります。住職がいない・管理者が分からないお寺は、管理者がいない・分からないお墓の墓じまいを見てください。

話す時期

お寺に話すのは、移す先の候補を探し始めたころで、契約はまだしていない時期です。

お寺に話すまでと、話したあとの順番
親族で決める名義人と方針を決める
候補を探す移す先の契約はまだ
お寺に相談会うか手紙で
移す先と契約受入証明書などをもらう
埋蔵の証明と申請改葬許可を受ける

総務省東北管区行政評価局の資料(2026年1月)に載った「一般的な改葬手続」の図(A市の例)も、「墓地管理者に相談」が先で、「改葬先の決定」はその次になっています。

浄土宗は、移す先を決めて手続きを終えてから結論を伝えるのではなく、はじめに菩提寺に相談するよう書いています。曹洞宗は、離檀料についての案内で、菩提寺との関係に疑問や要望があれば、できる限り早い段階で菩提寺に相談するよう勧めています。

ただし、移す先の候補が何も無いままでは、お寺に「どこへ移すのか」を聞かれても答えられません。候補を探し始めてから話すのがよいのは、次の手続きのためでもあります。

手続き 移す先との関係
改葬許可の申請書 「改葬の場所」の欄がある
受入証明書 14市区が求める
使用許可証・契約書 6市区が求める

数は、県庁所在地・政令市・東京の区の57市区の公式ページで数えたものです。申請書の欄は国の規則で決まっているので、どの市区でも、申請するまでには移す先を決めておくことになります。

一方で、浄土宗は、全部を移すのがよいか、遺骨の一部を分ける分骨がよいかも含めて話し合うよう書いています。先に契約まで済ませると、お寺と話したあとで考え直しにくくなります。

何か月前に話せばよいかは、宗派や公的機関の案内には書かれていません。時期に触れているのは、曹洞宗が離檀料についての案内で使う「出来る限り早い段階で」という言い方です。

日程は、終えたい時期から逆に数えます。お寺に話したあとに、移す先との契約、埋蔵の証明、改葬許可の申請が続きます。57市区のうち、許可証を受け取るまでの日数を公式ページに書いているのは6市区で、その日に受け取れるのが2市区、約1週間かかるのが2市区、残りの名古屋市と福岡市は「その日に出せない場合がある」と書いていました。

ただ、お寺との相談は1回で終わるとは限りません。その分の日数を多めに見ておきます。

話す前に家族で決めること

お寺に電話する前に、お墓の名義人(お墓を使う権利を持つ人。法律では「墓地使用者」)と親族で、墓じまいの方針を決めておきます。親族への話し方は墓じまいに親族の同意は要るかにまとめています。

名義人の同意は、手続きの上でも欠かせません。国の規則では、名義人でない人が改葬許可を申請するときは、名義人の承諾書などを付けることになっています。

お寺に話す前に、家族でそろえておくのは次の4つです。

  • 誰がお寺とのやり取りの窓口になるか(名義人か、お墓を継ぐ人)
  • 墓じまいを考える理由(遠くてお参りできない、継ぐ人がいない、など)
  • 移す先の候補と、その種類(公営の合葬墓・納骨堂・樹木葬など)
  • いつごろまでに進めたいか

移す先の比べ方は、墓じまいの移す先の選び方にまとめています。

会う・電話・手紙の使い分け

近くに住んでいるなら、電話で会う日を決めて、お寺で直接話します。遠くてすぐに伺えないなら、先に手紙で相談の内容を伝え、そのうえで伺う日や電話で話す日を決めます。

電話だけで墓じまいの話を済ませると、何を話したかが手元に残りません。電話は「〇〇家の〇〇です。お墓のことでご相談したいことがあり、一度お寺に伺いたいのですが、ご都合のよい日はありますか」と伝えて、日を決めるところまでにします。

伺うのは、名義人か、お寺とのやり取りの窓口になる人です。親族も一緒に行くなら、日を決める電話で「母と2人で伺います」のように人数を伝えておきます。同席した人がいれば、言われたことをあとで2人で突き合わせられます。手土産や服装は、ふだんの法事で伺うときを目安にしてください。

会ったときの最初の一言は、お礼と「相談に来た」ことだけにして、理由と移す先の候補はそのあとに話します。

例:「いつもお世話になっております。今日は、〇〇家のお墓のことでご相談に伺いました。遠方でお参りが難しくなり、この先どうするのがよいか、ご住職のお考えを伺いたいと思っています。まだ何も決めてはおりません。移す先の候補を探し始めたところです。」

会って話したら、その日のうちに、日付・話した人・言われたことをメモに残してください。

このメモは、あとで役に立つことがあります。お寺から埋蔵の証明を断られたときの代わりの書面として、国のQ&Aは墳墓の写真や、埋蔵証明書を出せない経緯を書いた申述書などを例に挙げています(総務省東北管区行政評価局の相談対応者向けQ&A)。いつ・どう頼んだかの記録は、その経緯を書くときの材料になります。

手紙の例文

手紙は、相談の形で書きます。決めたことの報告にせず、お寺に聞きたいことを並べて、伺う日の相談で結びます。

形は、一般的な手紙の書き方にそろえます。

  • 白い便箋に縦書きで書き、封書で送る
  • 書き出しは「拝啓」、結びは「敬具」
  • 宛名は、日付と自分の名前のあとに「〇〇寺 住職 〇〇〇〇様」と書く。住職の名前が分からなければ「〇〇寺 ご住職様」とする

手紙の例(遠くに住んでいて、すぐには伺えないとき)

拝啓 〇〇の候、ご住職にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。

長年にわたり〇〇家の墓所をお守りいただき、父〇〇の葬儀や年忌法要でも大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。

本日は、〇〇家のお墓のことでご相談があり、お手紙を差し上げました。現在は〇〇県に住んでおり、お参りに伺うことが難しくなってまいりました。私どもの子も遠方に住んでおり、この先お墓を守っていくことが難しい状況です。

そこで、母〇〇や親族とも話し合い、遺骨を私の住まいの近くの納骨先に移すことを考えております。移す先はまだ決めておらず、候補を探しているところです。

進め方について、ご住職のお考えを伺いたく存じます。とくに、次のことをお教えいただけますと幸いです。

  • お寺の墓地の決まりで必要な手続き
  • 遺骨を取り出す前のお勤めのこと
  • 改葬許可の申請に使う、埋蔵の証明のこと
  • 墓石を片付ける工事を頼む石材店のこと

あわせて、お墓を移したあとの〇〇家とお寺とのお付き合いについても、ご相談させていただければと存じます。

〇月ごろに一度お寺に伺い、直接ご相談させていただきたいと考えております。ご都合のよい日をお知らせいただけますでしょうか。お電話(〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇)でも承ります。

季節の変わり目、どうぞご自愛ください。

敬具

令和〇年〇月〇日 住所 〇〇県〇〇市〇〇 〇〇〇〇(〇〇家の墓地の名義人 〇〇〇〇の長男)

〇〇寺 住職 〇〇〇〇様

例の中の「お付き合いについて」の一文が、檀家をやめる(離檀)ことの相談に当たります。最初の手紙では「檀家をやめます」と言い切らず、お寺との関係をどうするかも相談の中身に入れておきます。

書き手が名義人でないときは、例のように名義人との続柄を書き、名義人と話し合ったうえでの相談だと分かるようにします。

最初の相談で聞く4つのこと

最初の相談では、墓地の決まり・遺骨を取り出す前のお勤め・埋蔵の証明・石材店の4つを聞きます。東京都の消費生活総合センターも、トラブルにならないよう、前もって墓地の管理者に必要な手続きや費用を確かめ、納得がいくように話し合うよう案内しています。

住職に聞くことのメモの見本(中身は例)数字は仮

墓地の決まり規則や檀家の決まりを書いたものはあるか①
お勤めするか・いつ・お布施の聞き方②
埋蔵の証明申請書の欄に書いてもらえるか③
石材店お寺が決めている店はあるか④
  1. ①曹洞宗は、墓地使用規則がある寺院ではその手続きや義務を守るべき場合があり、規則の有無と中身は住職に尋ねるよう書いている。書いたものがあれば写しをもらう
  2. ②日蓮宗は、法要のことは菩提寺の住職に相談するよう案内している。国の手順図では、遺骨を取り出すのは改葬許可証を受け取ったあと
  3. ③横浜市は、埋蔵の証明はふつう改葬許可申請書の欄に管理者が書き、管理者の様式でもよいとしている。申請書は、遺骨がある市区町村の様式を先にもらっておく
  4. ④練馬区は、管理者に改葬の話をするときに石材店の指定も確かめるよう、葛飾区は、契約書に指定があることがあるので先に確かめるよう案内している

②のお勤めの頼み方とお布施の考え方は墓じまいの閉眼供養、④の指定があったときの見積書の見方は墓石の撤去の見積書の読み方と指定石材店に分けて書いています。③の申請書の書き方は改葬許可の申請の流れと必要書類、申請書をもらう窓口は市区町村別の改葬許可の窓口で探せます。

お金のことは、最初の相談で額を決めようとせず、何のお金があるかを分けて聞きます。東京都の消費生活総合センターも、仏教では離檀料などの費用がかかる場合があると書いています。

お金 払う相手 最初に聞くこと
閉眼供養のお布施 お寺 どのくらい包むか
まだ納めていない管理料 お寺 何年度の分か
離檀料など お寺 求めるか・何のお金か
墓石の撤去の工事 石材店 見積書の額

管理料は、厚生省(当時)が2000年に示した墓地の契約の見本(墓地使用に関する標準契約約款)では、契約を解除した年度の分を納めていなければ払うことになっています。墓石の解体・撤去と区画を更地にして返す作業は石材店が行うと練馬区が案内しているので、工事のお金はお寺ではなく石材店の見積書で確かめます。

避けたい言い方

避けたいのは、手続きを終えてからの報告と、お布施の性質に合わない言い方です。

避けたい言い方 代わりに 根拠
「移す先と契約したので、書類をお願いします」 「移す先を探していて、ご相談したい」 改葬の手順の図・浄土宗の案内(「話す時期」の章)
「お経の料金はいくらですか」 「どのくらいお包みすればよいでしょうか」 浄土宗・全日本仏教会のお布施の説明
言われた額に、その場で「払います」 「何のためのお金か、教えていただけますか」 請求の根拠を確かめてから話し合う(東京都の消費生活総合センター)

お布施は、浄土宗が読経や法事への報酬ではないとし、全日本仏教会もサービスの対価ではないとしているので、「料金」ではなく「どのくらいお包みすれば」と聞きます。宗派ごとの書き方は墓じまいの閉眼供養にまとめています。

東京都の消費生活総合センターは、お寺から高い費用を言われた相談に、請求の根拠を確かめてから、納得がいくまで住職と話し合うよう答えています。言われた額にどう向き合うかは、離檀料の相場と払う義務に任せます。

浄土真宗のお寺では、「魂抜き」という言い方も避け、「墓じまいで遺骨を取り出すのですが、どんなお勤めをしていただけますか」と聞きます。

もめたときの相談先

お寺との話が進まなくなったら、困っていることで相談先を分けます。

困っていること 相談先
埋蔵の証明を書いてもらえない 遺骨がある市区町村
お金の話に納得できない 消費生活センター(188)
宗派としての考えを聞きたい 自分の家の宗派の窓口
先延ばしされる・引き留められる 改めて手紙を出す・宗派の窓口

返事を先に延ばされたり、「続けてほしい」と引き留められたりしたときは、理由と移す先の候補をもう一度書いた手紙を出し、控えを残します。手紙には「〇月ごろまでに進めたいので、〇月〇日ごろまでにお考えをお聞かせください」と、返事がほしい時期も書きます。

2通目の例(引き留められたとき)

先日はお時間をいただき、ありがとうございました。お言葉をふまえて家族で話し合いましたが、遠方のためお墓を守り続けることは難しく、やはり〇〇へ移したいと考えております。〇月ごろまでに進めたいので、〇月〇日ごろまでにお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

それでも話が進まなければ、宗派の窓口に考え方を聞きます。埋蔵の証明まで断られたら、その手紙の控えが、役所に経緯を伝えるときの材料になります。

埋蔵の証明は、墓地の管理者が断るべきではない、というのが1955年に国が示した考え方です。断られたときの役所への相談のしかたと代わりの書面は、お寺が埋蔵証明書を出してくれないときにまとめています。

お金の話は、消費者ホットライン188で近くの消費生活センターにつながります。消費生活センターが、お寺が属する宗派の相談日と電話番号を伝えた例も、総務省の資料に載っています。

宗派の窓口は、全日本仏教会が各宗派の相談窓口を一覧にしています。宗派で仏事の作法が違うので、自分の家の宗派を確かめてから、その宗派の窓口に電話するよう案内しています。宗派の窓口がお寺との仲に入るかどうかは書かれていないので、電話では、たとえば「菩提寺と墓じまいの相談をしていて、宗派としての考え方を伺いたい」と聞けます。

終えたあとのお礼

国の手順図では、遺骨を取り出したあとに「墓石の撤去・墓地の返還」があり、区画を返し終えるまでがお寺とのやり取りです。工事が終わったら、お寺に終わったことを伝え、区画を見てもらう日を相談します。遠くて立ち会えないなら、石材店に工事のあとの写真を撮ってもらい、お礼の手紙に添えます。

お礼の手紙の例(工事のあと)

〇月〇日に墓石の撤去を終え、区画をお返しいたしました。遺骨は〇〇(移した先)に納めました。長年にわたり〇〇家の墓所をお守りいただき、誠にありがとうございました。末筆ながら、ご住職のご健勝をお祈り申し上げます。

墓石の片付けを頼む石材店を探すなら、お寺に指定の有無を聞いてから、墓石の撤去を受ける業者の一覧で地域の業者を見てください。費用の全体は費用の目安で出せます。

出典

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