掲載 23 社改葬許可 57 市区

墓じまいは自分でどこまでできるか|改葬許可の申請は本人で出せる、墓石の解体と処分を石材店に頼む理由

更新日:出典の確認日:2026年10月20日調べた人:墓じまい比較ナビ(運営 株式会社楽笑)

墓じまいの中には、役所や墓地への書類の手続きと、墓石を壊して運び出す工事があります。書類は家族だけで出せます。墓石を壊して運び出す工事は、届け出・検査・処分の決まりがあるため、石材店に頼むのがふつうです。

石材店に頼むのがふつうな理由は、次の3つです。

  • 工事の前の届け出:神戸市・京都市などの公営墓地では、工事の前に届け出て、承認や許可を受けてから着工します。お寺や民営の霊園では、工事できる石材店が決まっていることがあります
  • 工事のあとの検査:基礎まで取り除いて更地にしたかを、返す手続きを調べた24自治体のうち9自治体が職員の立ち会いや検査で、2自治体が完成写真で確かめると書いています
  • 撤去した石の処分:東京都環境局は、墓の外堀に使っていた大谷石について、撤去したものは産業廃棄物の「がれき類」に当たり、処理業者に任せて処分するよう答えています

自分で手続きをして減るのは、行政書士や代行業者に払う手続きの報酬です。撤去の工事代・お布施・移す先の費用は残ります。

墓じまいの仕事を、誰がするか

自分でできる

  • 改葬許可の申請(役所)
  • 受入証明(新しい墓地からもらう書類)の取り寄せ
  • 墓地を返す届け出
  • お寺・霊園への連絡と日程の相談
  • 閉眼供養をお寺に頼む

石材店に頼む

  • 墓石・基礎の解体と撤去
  • 区画を更地に戻す工事
  • 撤去した石と残土の処分

どちらでもよい

  • 遺骨の取り出し(墓地の決まりを先に聞く)
  • 申請書の提出・受け取り(委任状で人に頼める)

自分でできる手続き

役所と墓地に出す書類は、どれも墓地の名義人(お墓を使う権利を持つ人)か、遺骨を移そうとする人が自分で出せます。

手続き 出す先 かかるお金
改葬許可の申請 今のお墓の市区町村 市区町村による(下で説明)
受入証明の取り寄せ 新しい墓地の管理者 墓地による
墓地を返す届け出 墓地の管理者 管理料の精算
お寺への連絡・閉眼供養 住職 お布施

改葬許可の申請

遺骨を別のお墓や納骨堂へ移すときは、「改葬を行おうとする者」が市区町村の許可を受けると、墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)5条1項で決まっています。お墓の名義人でない人が申請するときは、名義人の承諾書を付けます。

行政書士法19条が禁じているのは、行政書士でない人が、他人の依頼を受け、名目を問わず報酬を得て、業として(仕事として)役所に出す書類を作ることです。自分の家のお墓の申請書を自分で書くのは、他人から頼まれた仕事ではありません。

たとえば京都市は、市営墓地から遺骨を移すときの申請者を、市営墓地の使用者としています。使用者以外の家族が代わりに窓口へ行くなら、委任状を付けます。

県庁所在地・政令市・東京の区の57市区の公式ページでは、手数料を書いている20市区のうち17市区が無料でした。有料の市も300円ですが、遺骨1体ごと(静岡市)か、申請書1通・1枚ごと(富山市・奈良市)かで、2人分を移すときの額が変わります。郵送で申請できると書いている市区も32市区あり、遠くに住んでいても役所へ行かずに出せることがあります。

申請に、移す先の受入証明書(新しい墓地が遺骨を受け入れることの証明)を求める市区もあります(57市区のうち14市区)。これは新しい墓地の管理者に頼んで出してもらう書類で、業者を通さずに自分で取り寄せられます。

申請書の書き方は改葬許可の申請の流れと必要書類に、封筒に入れるものは改葬許可を郵送・オンラインで申請する方法にあります。お墓がある市区町村の窓口は、市区町村別の改葬許可の窓口から引いてください。

墓地を返す届け出

公営墓地では、返すときの届け出の様式が決まっています。24自治体の公営墓地のうち22自治体は、「返還届」「使用終了届」などの様式名を公式ページや規則に書いていました。

この届け出も、出すのは使用者です。京都市は、市営墓地を返す手続きを石材業者など使用者以外がするときは委任状が要るとしています。つまり、自分で出すのが基本の形で、業者に任せるのは頼んだときだけです。

お寺への連絡と閉眼供養

お寺の墓地なら、墓じまいをしたいことは自分で住職に伝えます。

代行業者の料金ページにも、お寺への説明は依頼者がする、と書くものがあります。業者の比較に載せている代行業者5社の料金ページを読むと、2社が、お寺への説明や離檀の話は依頼者自身でするよう書いていました(以下の業者の数も、同じ一覧の業者の公式ページで数えたものです)。

閉眼供養(お墓から魂を抜く法要)も、自分でお寺に頼めます。墓石の撤去を受ける18社のうち5社は、閉眼供養は施主がお寺に頼むものと書いていて、業者が僧侶を手配・紹介できると書いているのは5社でした。

離檀料の話し方と払う義務は離檀料の相場と払う義務に、お布施の渡し方は閉眼供養とお布施にあります。

遺骨の取り出し

遺骨は、改葬許可証を受け取ってから取り出します。横浜市の案内では、許可証を今の墓地の管理者に見せて遺骨を取り出し、許可証は渡さずに新しい墓地へ持っていきます。そして、新しい墓地の管理者に許可証を出して遺骨を納めます。

横浜市の手順には、取り出しから納めるまでの間に、運ぶ業者を挟む決まりは書かれていません。取り出した遺骨は、家族が許可証と一緒に新しい墓地へ持って行けます。新幹線や飛行機での持ち込み方や、ゆうパックで送るときの決まりは遺骨の運び方へ。

取り出しを家族でするか石材店に頼むかは、墓地ごとの決まりで変わります。業者の料金でも扱いが分かれていて、代行5社のうち取り出しを基本の料金に入れていると書いているのは2社でした。

取り出しの前に、管理者に「遺骨の取り出しは家族でしてもよいですか。石材店に頼む決まりですか」「取り出しの日に、立ち会いは要りますか」と聞いておきます。許可証を受け取る前には取り出しません。許可を受けずに改葬すると、墓地埋葬法の罰則(2万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)の対象になります。

墓石の解体と撤去

家族だけで墓石を壊すことを、法律で一律に禁じる規定は見当たりません。墓地埋葬法が市区町村の許可を求めているのは遺骨を移すこと(改葬)で、墓石の工事を誰がするかは、墓地ごとの決まりで決まります。公営墓地には工事の届け出と完了の確認があり、お寺や民営の霊園では、決まった石材店にしか工事を頼めないことがあります。

撤去を石材店に頼むときの費用は、区画の広さ(1㎡あたり)で料金を出す店があり、ほかに石の量や重機が入れるかでも変わります。料金を1㎡あたりで書いている6社のうち、たとえば4社の公式料金は下のとおりです(2026年10月20日に確認)。

業者 公式サイトの撤去の料金
石の富士家(埼玉県) 1㎡あたり50,000円〜(税別)
ひさのや石材店(千葉県) 1㎡あたり99,000円〜
佐藤石材(神奈川県) 1㎡あたり100,000円〜
博多の森石材店(福岡県) 1㎡あたり約5万〜12万円(目安)

税の扱いは、石の富士家が税別、ひさのや石材店が税込(基本料金)と書いています。佐藤石材と博多の森石材店は、料金のページに税込か税別かを書いていません。「〜」は一番条件のよいときの額です。区画の広さを掛けると、おおよその下の額が出ます。自分の条件での目安は費用の目安ツールで、ほかの業者の料金と料金に入る範囲は墓じまい業者の比較で見られます。

練馬区の消費生活センターは、墓じまいでは墓石の解体・撤去と、更地にして返すことが要り、その作業は石材店が行うと説明しています。

公営墓地の届け出そのものは、使用者の名前で出します。神戸市は、施工届書を出して工事ができるのは使用者だけとしたうえで、石材業者などに頼むときは届け出に請負業者の名前を書く、としています。家族だけで壊すなら、届け出・工事・検査の全部を自分で受け持つことになります。

神戸市立墓園で墓石を撤去するときの届け出
施工届書を市長へ施工の7日前までに出す
承認を受ける承認のあとでないと着工できない
工事周りの石碑を傷めない
工事完成届書と完成写真工事のあとに出す

施工届書には、設計図面や、写真を付けた施工場所確認書を添えます。京都市も、墓石などの撤去には工事の前の許可が要り、申請からおおむね1週間以内に許可の連絡が来るとしています。

工事の中身にも注文があります。神戸市は、周りの石碑を傷めないこと、基礎を撤去したあとはセメントやモルタルで面が崩れないようにすることを求めています。福岡市は、市が置いた縁石のほかは全部取り除き、基礎の一部を残したり埋め戻したりはできないとしています。

終わったかどうかは、冒頭のとおり自治体が確かめます。24自治体のうち、更地にして返すと書いているのは12自治体でした。京都市も、終了届を受け取ったあとに担当が現地を見ます。

お寺や民営の霊園では、墓地の契約書で石材店が決められていることがあり、家族が自分で工事してよいかどうかも、その墓地の決まり次第です。撤去の見積書の読み方と指定石材店の話は墓石の撤去の見積書の読み方と指定石材店に、公営墓地の返し方の全体は公営墓地の墓じまいにあります。

撤去した墓石の処分

撤去した墓石や外柵(区画を囲む石)の扱いについて、東京都環境局は「墓地の外堀に使っていた大谷石を撤去したが、土に埋めてもよいか」という問い合わせに、次のように答えています。

墓地の外堀などに使用された後に撤去されたものは、工作物の除去に伴って生じた不要物とみなされます。このようなものは、産業廃棄物の分類上『がれき類』に該当します。

そのうえで、産業廃棄物の処理業者に委託して処分するよう答えています。これは外堀の大谷石についての1件の問い合わせへの答えで、家族が自分で壊した石をどう出せばよいかまでは書かれていません。自分で壊すつもりなら、石の出し方を先に墓地の管理者と、お住まいの自治体のごみの担当に聞いてください。

神戸市も、撤去した石材や残土は廃棄物処理法に沿って処分するよう求めていて、施工届書に処分のしかたを書く欄があります。岡山市は、墓じまいでは今の墓石の処分を施工業者とよく話し合うよう案内しています。

石材店に頼むなら、見積書に「撤去」とだけ書いてあるときは、墓石・外柵の処分、基礎のコンクリートの撤去、残土の運び出しまで入っているかを聞きます。福岡市のように基礎を残せない墓地では、基礎が抜けていると検査に通りません。処理業者に渡すかどうかも、口頭でなく見積書に書いてもらうと、あとで食い違いません。

自分でやると減るお金

自分で手続きをして減るのは、行政書士や代行業者に払う手続きの報酬です。行政書士5事務所のうち4事務所が、公式サイトに報酬額を載せていました(2026年10月20日に確認)。ただし、同じ「報酬」でも頼める範囲が違います。

事務所 料金ページでの名前 公式サイトの報酬 料金ページの注記
さいとう法務事務所 改葬許可申請書の作成・申請・受領 14,800円 遺骨の追加・埋蔵証明は別
あおぞらコンサルティング 改葬許可申請(墓じまい) 70,000円(税抜き) 出張費は別
くすき事務所 墓じまい代行(改葬許可申請) 77,000円〜 役所の手数料は別
エベレスト 墓じまいの行政書士報酬 120,000〜180,000円前後 墓地の場所や手間で変わる

税込か税抜きかは、原文の書き方のまま載せています。くすき事務所は、表に「税込」と書きつつ、下の注に「報酬額には別途消費税がかかります」とも書いているので、頼む前に聞いてください。さいとう法務事務所とエベレストは、料金のページに税の扱いを書いていません。

1つ目は、申請書を作って出し、許可証を受け取るまでに絞った額です。ほかの3つは「墓じまい」の名前で載せた額で、申請のほかに何まで入るかは料金ページだけでは比べられません。額の大小だけで決めず、頼める範囲を事務所に聞いてください。行政書士5事務所のうち3事務所は、交通費や役所の手数料などの実費は報酬と別だと書いています。

範囲のはっきりした1つ目の事務所で、2人分を頼んだときを数えると、次のようになります。

仮の例:静岡市のお墓から、父と母の2人分を移す申請仮の数字
自分で出す:手数料(遺骨1体ごと)
300円 × 2体 = 600円
行政書士に頼む:改葬許可申請書の作成・申請・受領
14,800円
行政書士に頼む:2体以上のときの加算
遺骨1体あたり3,000円
行政書士に頼む:お寺から埋蔵証明を取ってもらう
5,000円
行政書士の報酬の合計22,800〜25,800円(ほかに手数料600円と、交通費などの実費)

※ 人数は仮の例です。合計に幅があるのは、2体以上のときの加算を1体分で数えるか2体分で数えるかが、料金ページからは決められないためです。この事務所は、電車代・ガソリン代や宿泊費は実費相当で別とし、千葉県内の一部地域は格安で受けるとも書いています。頼むなら事務所に聞いてください。

自分で出せば、払うのは役所の手数料の600円です(郵送で出すなら、その郵送代も)。埋蔵証明は、申請書の証明欄か別紙の埋蔵証明書を、お寺に書いてもらうもので、自分で頼めます。証明欄があるかどうかは市区町村の様式で違います。

代行業者の料金に「行政手続き」が入っていても、書類を自分で書くことになる場合があります。代行5社のうち書類の手続きを料金に含むと書いているのは2社で、そのうち1社は、書類の作成は依頼者がすると書いています。代行業者に任せられる範囲は、墓じまい代行業者に頼めること・頼めないことで比べてください。

一方、墓石の撤去の工事代、閉眼供養のお布施、移す先の使用料は、自分で手続きをしても減りません。代行に全部を頼む場合と、手続きは自分でして石材店に直接頼む場合の差は、両方の見積もりを並べるまで分かりません。5つのお金の分け方は墓じまいの費用の内訳に、地域の目安は費用の目安ツールにあります。

自分で進めない方がいい場面

手続きを自分でできても、次のような場面では、人に頼むか相談してから進めたほうが、やり直しや争いを減らせます。

場面 先にすること
名義人が亡くなっていて、継ぐ人が決まっていない 名義人が亡くなっているときの墓じまいで継ぐ人を決める。届け出を出せる人が決まらないため
お寺が埋蔵証明を書いてくれない・高い金額を言われた お寺が埋蔵証明書を出してくれないときを読む。金額でもめたら弁護士か消費者ホットライン(188)へ
親族が反対している・同じお墓に別の家の遺骨がある 申請や工事の前に、誰にどの順で話すかを決め、話がまとまるまで申し込まない
遠くに住んでいて何度も現地へ行けない 申請書の提出や受け取りは、委任状で親族や石材業者に頼める(松山市)。墓地を返す手続きを石材業者に任せるなら、神戸市は実印を押した委任状を求めている

最初にかける電話

自分でやる範囲を決める前に、今の墓地の管理者へ1本電話をかけます。聞くのは、「撤去の工事と遺骨の取り出しは、決まった石材店に頼む決まりですか」「返すときの届け出の様式をもらえますか」の2つです。

決まった石材店があれば、見積もりはその店に頼みます。決まりが無ければ、墓石の撤去を受ける業者の一覧から2社以上に、撤去・基礎・残土・処分まで入れた見積書を頼みます。役所の申請は、その返事を待つ間に、市区町村別の改葬許可の窓口で様式と手数料を見て進められます。

出典

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